異常気象や自然災害をもたらす地球温暖化。
現在その対策を話し合う重要な国際会議が開かれていますが、
各国の足並みは揃いそうにありません。
アメリカ・アラスカ州にある小さな島、シシュマレフ。
波が陸地を浸食し、建物が崩れかかっています。
地球温暖化の影響で近い将来「地図から消える島」と言われています。
WMO(世界気象機関)は
今年の世界の平均気温がこのままいけば
観測史上10番目に高かくなる見通しで
温暖化が進む傾向にあるとしています。
今年、首都バンコクにも及ぶ洪水被害を受けたタイ。
日本では9月に紀伊半島で記録的な大雨、
死者・行方不明者はあわせて94人にのぼりました。
これが温暖化の影響によるものかは分かっていませんが、
WMOは温暖化が進むことで雨が降りやすくなると指摘しています。
新たな自然災害を招かないためにも温暖化対策が求められています。
こうした中、現在南アフリカで行われている「COP17」。
年に1回、地球温暖化対策について話し合う会議の17回目です。
今回の会議で最大の焦点となっているのは、
1997年の「COP3」で採択された「京都議定書」です。
京都議定書は先進国に対し
地球温暖化の原因となる温室効果ガス削減を義務づけ、
2008年からの数値目標を課しました。
一方、発展途上国には数値目標を課していません。
ところがこの削減義務は、2012年で切れてしまいます。
2013年から先は先進国ですら数値目標がなくなってしまうんです。
このため京都議定書で決めたルールをこの先も延長するかどうか、
話し合われているんです。
日本はこの延長に「反対」しています。
というのも京都議定書によって削減が義務づけられるのは
日本やEUに属する国などに限られ、
CO2排出量でいうと世界全体の26%にすぎません。
合わせて4割を超える中国とアメリカ。
中国には削減義務がなくアメリカは京都議定書を離脱してしまいました。
このため日本は
すべての主要排出国が参加しなければ効果は薄いとして
京都議定書の延長には「反対」という立場です。
主なところではEUは削減義務はありますが、
これまで温室効果ガス削減の議論をリードしてきたこともあり
延長に賛成することも考えられます。
一方、削減義務のない中国は
努力は先進国がすべきだとして
京都議定書の延長に「賛成」しています。
アメリカは立場を明確にしていません。
このように各国のスタンスはバラバラで
議論がまとまるかどうか見えない状況です。
6日からは細野環境大臣も参加する
閣僚級会合がスタートします。