日本テレビ「NEWS ZERO」

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イチメン 2011年10月3日 ニュートリノ

今週はノーベル賞の各賞が発表されるノーベルウィーク。
そこで今週のイチメンは過去にさかのぼるタイムマシンも可能になるかもしれない
"ある発見"についてお伝えします。

かつてノーベル物理学賞を受賞したアインシュタイン博士。
その代表的な研究といえば「相対性理論」です。
「相対性理論」では「質量のあるもので光より速いものはない」としています。

しかし先月23日、日本の名古屋大学の研究者らが参加した国際研究チームが、
「光よりも速いものがあったと」発表しました。
   

それは宇宙で最も小さい粒子といわれるニュートリノです。
こうした星の爆発で誕生する他、太陽からも放出されています。
目で見ることはできませんが地球上にも大量に存在しています。

研究チームはこのニュートリノをスイスの研究所から730キロ離れた
イタリアの研究所まで地下を通して飛ばし速さを測定。
ニュートリノが光の速さを"1億分の6秒上回った"という結果を得たのです。
これはアインシュタインの 「光より速いものはない」という理論と矛盾。
科学界は騒然となりました。

そもそも相対性理論とはどのようなものでしょうか?

まず光の速さは1秒間におよそ30万キロ。
これが速度の限界と考えられています。

仮に、光の速さに近い速度で飛ぶ乗り物があったとします。
相対性理論ではこの乗り物の中は時間がゆっくり流れるとされています。
なので乗っている人にとってはわずかな時間だと思っていても
地球ではもっと時間が経過しているため、
戻ってきたときには未来に帰ってくることになるのです。

ここまでは相対性理論で説明がされてきました。

ところが今回の発表されたニュートリノのように、
光よりも速い乗り物があった場合、速度の限界を超えてしまうことになります。

すると理論上は「時間がさかのぼっていく、つまり過去に行くタイムマシンも可能だ」
という研究者もいるのです。

しかし今回の実験結果には懐疑的な見方もあります。
「実験に使われた時計は正確だったのか?」といった指摘もされているんです。

実験にあたった研究チームは、次のように話しています。

名古屋大学 中村光広准教授
「常識を超えた結果を発表することになるわけですから
 それに対して私の中で精神的な抵抗は非常に感じていた」
名古屋大学 小松雅宏准教授
「自分の常識に合わないからというだけの理由で、
 否定しきれない確かな結果を逆に出さないのは研究者として正しくない姿勢」

研究チームは「安易には結論づけられない」として今後は研究者を変えて
結果を再検証するといいます。
以上、イチメンでした。