日本テレビ「NEWS ZERO」

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イチメン 2011年8月22日 リビア重大局面

 いま中東のリビア情勢が
      重大な局面を迎えています。
まずはこちらをご覧ください。
 


独裁体制を敷く
   リビアのカダフィ大佐です。
突拍子もない言動で知られ
 かつて「中東の狂犬」とも言われた人物。

自分の意に反する者は
   秘密警察を使って弾圧しました。

40年以上にわたり
 独裁体制を敷いていたカダフィ大佐。
ほころびが見え始めたのは今年2月です。


カダフィ大佐に抗議する
 一部の市民がデモを起こします。


このデモにはその後
 カダフィ政権側にいた
    一部の兵士も参加しました。

 


これにカダフィ政権は、
 無差別の銃撃や空爆で対抗。
 衝突は激化しました。

 


すると3月にはアメリカ、イギリス、フランスなど
 多国籍軍がデモ隊を後押し。
カダフィ政権側への攻撃を開始しました。
その後、こう着状態が
 続いていましたが、

 

状況が一気に動き始めたのは先週です。
反政府勢力は
 カダフィ大佐にとって
  最後の砦である首都トリポリを攻撃。
ついに大半を制圧しました。

今、攻防の最前線はどういう状況なのでしょうか。


====VTR======

これは、日本時間のきょう
  首都トリポリで撮影された映像。

 

トリポリの中心部にある
「緑の広場」に
    反政府勢力がなだれこみ制圧した。

喜びにわく反政府勢力は
     空に向け祝砲を撃ち、
カダフィ大佐のポスターや
   壁に書かれた緑のスローガンを破壊していた。

 

緑の広場はカダフィ大佐が
演説を行うなど
   政権側にとって重要な場所だ。


トリポリの中心部にまで勢力を
広げた反政府勢力。

反政府勢力は
カダフィ大佐の二男で
  後継者とされているセイフイスラム氏や、
長男のムハンマド氏を拘束したという。

 

対するカダフィ大佐。
21日には
テレビで音声メッセージを流し
      徹底抗戦を呼びかけた。


『民衆よ。
 家を捨て、義務を果たせ。
 生きるか死ぬか。
 あらゆる場所から首都トリポリに集まれ』

※リビアの国営放送
※カダフィ大佐からリビア人へのメッセージ


また、カダフィ政権を支持する
放送局の女性キャスターは。

「このテレビ局の我々もみな武器を持っている。
 私たちも死ぬ準備ができている!」

現在、カダフィ大佐がどこに
     いるのかわかっていない。

中東のテレビ局
アルジャジーラによると、

政権側は緑の広場から
およそ3㎞南にある
カダフィ大佐の住居がある地域に 
             戦車などを配置。
戦闘が続いているという。

 

これは、さきほど
    トリポリで撮影された映像。

最前線の方角から
    煙があがっているのがわかる。

 

反政府勢力はトリポリの大半を
制圧したとしているが、
残り15%ほどの地域は
依然、カダフィ政権側が掌握
            しているという。


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そもそも中東では
 「アラブの春」と言われる
 市民による民主化運動が各国で起きています。

とりわけ政権を
 大きく揺さぶったのは
 こちらの5か国、
 チュニジア、エジプト、リビア、そしてシリア、イエメンです。

 

それぞれの状況ですが

まず、チュニジアでは23年間続いた
 ベンアリ大統領の独裁政権に終止符が打たれました。

そして次はエジプト。
 およそ30年にわたり
 君臨してきたムバラク大統領が
       辞任に追い込まれました。

リビアではこう着状態が続いていましたが、
 いま独裁政権は崩壊の瀬戸際に追い込まれています。

そして、シリアとイエメン。
 シリアにはアサド大統領、
 イエメンにはサレハ大統領
      という独裁的な指導者がいます。

もしリビアのカダフィ政権が崩壊した場合、
 この2か国への何らかの影響は
      避けられないとみられています。

 

というのも、この半年ほど
 リビア中心に向けられていた
 アメリカやイギリスなどの目が

 

今度はより、この両国に向くことになるからです。

リビアを機に停滞していた
 中東の民主化の動きは再び
     息を吹きかえすのでしょうか。