日本テレビ「NEWS ZERO」

http://www.ntv.co.jp/zero/

イチメン 2011年7月4日 放射性物質が含まれた廃棄物の処理問題

福島第一原発の事故で
 放出された放射性物質。

各地の上下水処理施設の
廃棄物から
 検出される例が相次いでいます。

ブルーシートで覆われているのは
神奈川県・横浜市の
  下水処理施設から出た廃棄物です。

放射性物質が検出されたため、
 現在、敷地内の駐車場に
      保管されています。

このような廃棄物の量は、
原発のある
 福島県で少なくとも3167トン。

関東地方の一都六県では、
少なくとも合計2万8千トンに
         のぼっています。

 

このほか廃棄物から
 放射性物質が検出された例は、
現在、東日本を中心に
   16都県に広がっています。


進まない処理の現状を
          取材しました。


*****VTR******

神奈川県横浜市。
住宅街にほど近い駐車場に、
  廃棄物の山が出来ていました。

私たちが訪ねたのは、
下水処理の際に出る
「汚泥」を処理し、
        資源化する施設。

(神奈川・横浜
  南部汚泥資源化センター)

 


「1日どのくらいの量(の汚泥)が?」

A(横浜市環境創造局  高橋義吉 氏)
 「1日8000トンが送られてくる」

 


この施設で処理される
         「汚泥」から、
放射性物質が
    検出されたというのです。

 


計測器を使って
      放射線量を測ると...。

「およそ(毎時)0.07マイクロシーベルト」

極めて低いレベルですが
    放射線が検出されました。

 

施設では、この「汚泥」を
セメントの原材料などにするため
        焼却処理をしています。

すると体積は400分の1に。
ところが
   そこに問題が発生しました。

 


「1.8から1.9マイクロシーベルトですね」

 


「汚泥」を焼却した「焼却灰」は
 水分が無くなった分
      濃度が高くなるため、
検出される放射線量は
        高くなるのです。


「焼却灰」から
  放射性物質が検出されて以降、
施設の外に持ち出すことが
      出来なくなったため、
保管スペースには
  限界が迫っているといいます。

 

(横浜市環境創造局  高橋義吉 氏)
「あと1か月ちょっとで
 大変になると思います」



「1か月後、他の所に置くめどは立っているのですか?」

A(横浜市環境創造局  高橋義吉 氏)
「めどは立っていません
 努力はしているんですが」


*********

VTRにあったように
下水処理施設では、
 汚泥や焼却灰から放射性物質が
 検出されています。

一方、川などの水を
 浄化して水道水にする浄水場でも
 処理過程で出る土から
 放射性物質が検出されています。

ただ、厚生労働省によると
 浄化された水道水からは
 現在、放射性物質は検出されておらず
      飲んでも影響がないということです。

では、放射性物質が
 検出された廃棄物は
 どうやって
 処理すればいいのでしょうか。

 


ひとつは再利用です。

汚泥の多くは
 セメントなどに混ぜられ、
   建設材料として再利用されています。

セメントに加工すると
 放射性物質の濃度は
 およそ10分の1に、
     うすめられるといいます。

しかし、加工する業者の多くは、
放射性物質が検出された汚泥の引き取りを
            拒否しているのが現状です。


もうひとつの処理方法は
         埋め立てです。

政府は、放射性物質の濃度が
 1キログラムあたり10万ベクレル以下であれば、
 埋め立てが可能だとしています。

これには、埋め立てた場所を
 居住地に使わないこと。


また、周辺住民の
 被ばく線量が年間10マイクロシーベルト以下になると
 確認することなどを条件としました。

しかし国の基準だけでは、
 実際の処理は
 なかなか進まないという声もあがっています。

******VTR*****

 

(横浜市環境創造局  高橋義吉 氏)
「実際に(国に指針を)出していただいたんですが
(焼却灰を)受け入れる側が なかなか受け入れて
 くれない現実がありまして(処分が)進まない現状があります」

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廃棄物の処理については、
現状に対して
 国の対策が追いついていないことが
 うかがえます。
 
廃棄物の保管場所が
 満杯になる前に
 早急な対策が求められます。