3年ぶりに上野動物園にやってきたパンダですが、
日中友好の使者としての役割も担っているのです。
こちらをご覧下さい。
今回来日したのは、つがいのジャイアントパンダ2頭。
上野動物園ではこのようなオリジナルキャラクターをつくり、
歓迎しています。
今回上野に来たジャイアントパンダ以外にも、
和歌山のアドベンチャーワールドで8頭。
兵庫の王子動物園で1頭が飼育されています。
実は、これらのパンダは全て中国からレンタルしているものなのです。
このパンダのレンタルとは、どういうものなのでしょうか。
これは、一定の期間を決め中国からつがいのパンダを借りるというものです。
借りる目安はおよそ10年間、この期間を過ぎると中国に返却するか、
期間を延長することもあるということです。
そしてもし、借りているパンダに子どもが生まれた場合、
基本的にはその子どもは、中国に返さなければなりません。
ではなぜ、このようなレンタルが行われるようになったのでしょうか。
理由は、パンダを保護する動きにあるんです。
ジャイアントパンダは、198年ワシントン条約で
「今すでに絶滅する危険性がある生き物」に認定されました。
それまでパンダは、中国からほかの国へ贈呈されていましたが、
保護するため商業目的の輸出入が一切禁止され、
以後、「研究のため」という名目でレンタルのみ行われるようになったのです。
しかしこのような希少な動物を、中国はなぜほかの国に渡すのでしょうか。
実は、これはほかの国と友好を深めようとする中国の外交手法。
いわゆる「パンダ外交」なのです。
初めて「パンダ外交」が行われたのは191年。
日中戦争のさなか、中国が国際社会の援助をうけるための戦略の一環として、
アメリカにパンダを贈呈したことに始まります。
さらに冷戦下の1957年には、
当時、親密だった旧ソ連にパンダを贈りました。
そして日中国交正常化が成立した1972年には、
友好の証しとして日本に初めて、パンダ2頭が贈呈されました。
当時、上野動物園ではパンダを一目見ようと長蛇の列ができるなど、
空前のパンダブームにわきました。
今回のパンダ2頭のレンタルが決まったのは2008年。
それまで靖国神社参拝問題などで冷えきっていた日中関係を、
改善しようとする動きの中で合意されたものです。