日本テレビ「NEWS ZERO」

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イチメン 2010年5月10日 ギリシャ問題と日本

こちらはギリシャ支援を決めた
EUの緊急首脳会議の後、
会見に臨むギリシャの首相の姿です。
EU各国などが、およそ13兆円という
多額の融資をするのは、ナゼなのでしょうか?

もともとフランス、ドイツ、オランダなどEU各国は、
ギリシャの国債を大量に保有していました。
つまり、ギリシャ政府は、国債を発行し、
買ってもらうことで各国から借金をしていたのです。

その、ギリシャ政府が、
いま、会社で言えば、
借金を返済できずに
倒産寸前の状況に陥っているのです。

どういう事か説明します。
本来、ユーロの加盟国は、
その国のGDPと比べ
借金を年間3%までに抑えよう、
という決まりがあります。

しかし、去年1年間のギリシャの借金は、
GDP比で13.6%と異常に膨らみました。

その結果、各国は、
「借金を返してもらえないのではないか?」と疑い、

ギリシャの国債の信用度は著しく低下しました。
こうなると、世界中の誰も
ギリシャ国債を買わなくなりギリシャは、
お金が確保できなくなる状況が生まれます。

いわば、国家倒産の危機です。
仮に本当に倒産すると、
EU各国が大量に保有する
ギリシャの国債は紙くず同然になるため、
経済が大きな打撃を受けることになります。

だから、EU各国などは、
ギリシャが財政再建策を
打ち出すことを条件に
多額の融資することにしたのです。

元々は、ギリシャの借金体質に
端を発している今回の問題。
借金体質といえば日本も他人事ではありません。

先ほどギリシャの借金は、
13.6%とお伝えしましたが、これは去年1年分。

これまで積み上げてきた
借金のトータルは、GDP比で115%まで
膨れあがっています。

一方、日本は、というと、
国と地方を合わせた借金は、なんとGDP比189%!
額にして、およそ910兆円、
ギリシャよりも借金が多いのです。

ではナゼ日本は、
ギリシャほどの騒ぎにならないのでしょうか?

それは、
100兆円ともいわれる
一般家庭の貯金が、
国債を買い支えているから、という見方があります。

ギリシャ国債の7割は、
外国が保有しているといわれています。
一方、日本の国債は、9割以上が
国内で保有されています。
いわば、日本国内で
お金を貸し借りしている状態だから大丈夫だ。
というワケです。

...だとしても、楽観視してはいられません。

民間の貯蓄率の推移を見ると、
ご覧のように減り続けている事が分かります。
少子高齢化が進み、老後のために貯蓄する
若い世代が少なくなり、
貯蓄を切り崩す定年後の世代が増えたからです。

このままでは、
今までのように国内だけで国債を
受け入れることは出来なくなり、
ギリシャのように
外国に国債を買ってもらうしかなくなってしまいます。