日本テレビ「NEWS ZERO」

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イチメン 2010年3月29日 米ロ戦略兵器削減条約


 
 「核兵器のない世界」への大きな一歩となる
 重要な条約が、合意されました。
 オバマ大統領は先週、
 アメリカとロシアの
 戦略兵器削減条約が
 合意されたと発表しました。

 2009年、核廃絶の演説を行った
 チェコのプラハで、2010年月8日に調印式が、
 行われるということです。
 では一体どういう条約なのでしょうか。

 アメリカとロシアは世界の核兵器の
 およそ95%を保有しているといわれています。

 こちらは、民間の調査機関が
 発表した2009年現在、両国の配備されている核弾頭の数です。

 アメリカは2202発。ロシアは2787発。

 今回合意された新しい条約は、
 これらをそれぞれ1550発まで削減するというものです。

 「核弾頭」はミサイルや爆撃機、
 潜水艦などで運ばれます。
 今回の条約ではこれら「運搬手段」も削減されます。
 
 両国共に現在の条約で決められた
 上限である1600から、
 半分の800まで削減するとしています。

 このような合意がなされた
 背景には、大きく二つの理由があります。

 ひとつは、「テロへの脅威」。
 核兵器を大量に持っていると
 テロリストなどに盗まれる
 危険性が高いという理由です。
 
 もうひとつは、「管理コストの問題」。
 大量の核兵器は、
 それを管理していくだけで、
 莫大なお金がかかるのです。

 では、今回の合意にいたるまでの
 経緯を少し振り返ってみましょう。

 1991年、当時のアメリカ・ブッシュ大統領と、
 ソ連のゴルバチョフ大統領が、
 「START1」と呼ばれる条約を結びました。

 冷戦中に増え続けた核兵器を
 減らしていこうというものですが、
 2009年12月に期限が切れていました。

 アメリカとロシアは、
 この「START1」につづく条約として、
 今回の条約の交渉を始めたのです。

 しかしその交渉は難航しました。
 争点となったのは、アメリカだけが進めている
 ミサイル防衛計画についてです。

 ミサイル防衛とは、
 相手が発射したミサイルを
 迎撃ミサイルで打ち落とすことです。

 もし、仮に両国が5発ずつ
 核ミサイルを持っていたとします。

 そのうち2発ずつ減らしたとしても、
 アメリカが迎撃ミサイル1発を持っていると、
 ロシアのミサイルが
 打ち落とされる可能性があり、
 両国の均衡が保たれなくなります。
 
 これにロシア側が難色をしめし、
 交渉がもつれていたのです。


 
 合意がなされた今でも、
 この点について、
 両国の説明ははっきりしていません。
 アメリカ側は
 「ミサイル防衛に対して何の制限も課さない」
 つまり「制限なし」と説明。

 一方、ロシア側は、
 「拘束力のある形で定めている」、
 つまり「制限あり」と説明。
 両国の解釈は食い違っています。