日本テレビ「NEWS ZERO」

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イチメン 2010年2月8日 時効見直し

 「時効制度の見直し」で2月8日動きがありました。
 これは、法務大臣が依頼した
 専門家などの集まりである「法制審議会」の様子です。

 ここできょう、時効制度を見直す法案の
 「たたき台」がまとまりました。

 そもそも現在の法律では、
 事件が発生し、犯人が逮捕・起訴されない場合、 
 ある一定の期間をすぎると時効となり、
 警察が捜査を終了し、犯人も処罰されません。

 今回の見直し案は、この時効を廃止。
 もしくは延長するというものです。

 今回、見直しの対象とされたのは、
 「人を死亡させた事件」です。

 その中で、最高刑が死刑となる「殺人」や「強盗殺人」などの
 時効は、現在25年ですが、
 今回の見直し案は、これを廃止するというものです。

 一方、人は死なせたものの
 死刑にはならない犯罪ですが、

 現在、「強姦(ごうかん)致死」は15年。

 「傷害致死」や「危険運転致死」は10年。

 「自動車運転過失致死」や
 「業務上過失致死」などは5年となっていますが、

 それぞれ2倍に延長するというものです。

 では、この見直し案を、
 どのような事件に適用していくのでしょうか。


 
 今回は、「遡及(そきゅう)の適用」という仕組みが
 盛り込まれました。

 遡及(そきゅう)とは、過去にさかのぼって
 効力を発揮するという意味。


 
 こちらの図は、
 上から下へ時間の流れを表しています。

 ある時点で、時効見直しの
 法律が施行されたとします。

 これまでは法律が施行されたあとに
 起きた事件だけに
 法律が適用されました。 
 しかし今回は、法律が施行される
 前に発生した事件でも、
 まだ時効を迎えていない場合は、 
 この法律が適用されることになります。

 これは、時効の廃止を
 訴えてきた未解決事件の
 遺族に配慮した措置といえます。

 具体例をあげると、1996年9月、
 当時、上智大学の年生だった小林順子さんが、
 自宅で殺害された事件です。

 この事件の発生当時、
 時効は15年。つまり、2011年9月です。
 もし、今回の見直し案が、
 時効を迎える前に施行されれば、 
 遡及(そきゅう)が適用され、 
 2011年の時効はなくなり、 
 捜査が継続されることになるのです。

 順子さんの父、賢二さんはこう語っています。

「遡及(そきゅう)の適用が
 盛り込まれたことに大きな意味を感じます」
「できるだけ早く進めて欲しい」

 今後、法制審議会で正式決定し、
 3月上旬には、法務省が法案を作る見通しです。

 そして春にも、国会に提出され、
 審議されることになります。