日本テレビ「NEWS ZERO」

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6月22日イチメン 揺らぐイスラム体制

混乱するイラン情勢、
なぜこんな事態となっているのでしょうか?
まずは、こちらをご覧ください。

これは、大統領選挙で『自らの一票』を投じる
最高指導者ハメネイ師の姿です。
このハメネイ師を頂点とするイランの国家体制が、
いま揺らぎつつあるんです。

そもそも、イスラム教シーア派の国であるイランでは、宗教上、
最も高い地位にある最高指導者が大統領の上に立つ存在です。
さらに、軍も最高司令官として支配下に置いています。
国内の重要政策で最終決定権を持っているんです。

その最高指導者であるハメネイ師の下で行われた今回の大統領選挙は、
アメリカなどへの強硬路線を訴える『保守強硬派』のアハマディネジャド大統領と、
国際社会との対話を訴える『改革派』のムサビ元首相。
この2人の事実上の一騎打ちでした。
結果は、ハメネイ師が支持したアハマディネジャド大統領の圧勝。

その結果を受けて、ムサビ元首相の支持者は、選挙に不正があったと主張し、
やり直しを求め抗議活動を始めたんです。
この抗議活動は、最高指導者ハメネイ師が、やめるよう呼びかけても収まらず、
ハメネイ師を名指しで批判するという異例の動きを見せています。

最高指導者の制止にもかかわらず、抗議デモが続く背景には、
2人の大統領経験者という有力な後ろ盾がいるという側面もあるとみられています。
それは、保守『穏健派』のラフサンジャニ元大統領と、『改革派』のハタミ前大統領の2人です。

イスラムの教えを、より原理主義的に実践するよう求めるアハマディネジャド大統領と、
2人は、距離を置いていました。
これに対して、ハメネイ師とアハマディネジャド大統領の保守強硬派は、
ラフサンジャニ元大統領の娘を拘束して、改革派に圧力をかけた、と見られています。

では、この改革派の抗議活動は、
イランの国家構造を変えるのでしょうか?
改革派の一般市民の中には、
自由を求めてハメネイ師を頂点とするイランの国の体制そのものを
壊したい人も一部にいます。
ですが、ラフサンジャニ元大統領もハタミ前大統領も今の国家体制そのものを
否定しているわけではないんです。

あくまで今の体制の中で、強硬路線に偏りすぎたイランを
変えようとしているのです。
専門家の見方では、今の動きがイランを国家体制から変える可能性は低いようです。