今月、景気の現状を政府はどう見たのでしょうか?
世界経済が悪化する中、3月の「月例経済報告」が
きょう、発表されました。
今月は「景気は急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」と表現。
先月と同じ文言が使われました。
では、この表現にどういう意味があるのでしょうか?
月例経済報告とは、
その時々の景気に対する政府の「公式見解」。
景気を数字ではなく「言葉」で表現するのが大きな特徴です。
ところが、この言葉が時に思わぬ混乱を生んでしまうこともあります。
例えば。「停滞」と「弱含み」では
どちらがより景気が悪いと思うでしょうか?
...ちょっと迷いますよね。それもそのはず、
なんと、政府の中でもどっちだか分からない時があったんです。
1998年、経済企画庁(当時)の尾身長官は
「私は停滞の方が弱含みよりも弱いと理解していたが、
事務方は逆だと説明した」と国会で答弁。
つまり、長官と事務方の官僚が
全く逆の理解をしていたということなんです。
結局、この2つの言葉は「ほぼ同じ」意味ということで
政府の中でも統一されましたが、
月例経済報告の表現は「月例文学」「霞が関文学」と
からかわれるほど、分かりづらいこともあるんです。
現在は、代表的なものとして
「持ち直し」「回復」は上向き。
「足踏み」「横ばい」は変わらず。
「弱含み」「悪化」で下向き
といったように景気の状態を表しています。
では改めて、今月の月例経済報告を見てみましょう。
「景気は急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」
前の月と全く同じ言葉を使いました。
ただし、政府は景気が「下げ止まったわけではない」と説明しています。
これは、どういうことかというと。
去年10月から政府は景気を「弱まっている」「下押し圧力」
「悪化」「急速に悪化」「厳しい状況」と表現。
さらに悪く、さらに悪くと5か月連続で「下方修正」してきました。
そして、今月は下方修正こそありませんでしたが先月と同じ表現に。
急激に下がり続けていて非常に厳しい状態であることに
変わりはないのです。
これを踏まえて、イチメン流に今月の月例経済報告を読み解くと。
「景気は先月と同じくらい急激な下り坂を駆け下りている」
ということになります。
以上、月例経済報告のイチメンでした。