日本テレビ「NEWS ZERO」

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3月16日イチメン 毎月の"景気"どう表現?

今月、景気の現状を政府はどう見たのでしょうか?

世界経済が悪化する中、3月の「月例経済報告」
きょう、発表されました。

今月は「景気は急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」と表現。
先月と同じ文言が使われました。
では、この表現にどういう意味があるのでしょうか?

月例経済報告とは、
その時々の景気に対する政府の「公式見解」。
景気を数字ではなく「言葉」で表現するのが大きな特徴です。
ところが、この言葉が時に思わぬ混乱を生んでしまうこともあります。

例えば。「停滞」と「弱含み」では
どちらがより景気が悪いと思うでしょうか?

...ちょっと迷いますよね。それもそのはず、
なんと、政府の中でもどっちだか分からない時があったんです。

1998年、経済企画庁(当時)の尾身長官は
「私は停滞の方が弱含みよりも弱いと理解していたが、
事務方は逆だと説明した」と国会で答弁。
つまり、長官と事務方の官僚が
全く逆の理解をしていたということなんです。

結局、この2つの言葉は「ほぼ同じ」意味ということで
政府の中でも統一されましたが、
月例経済報告の表現は「月例文学」「霞が関文学」
からかわれるほど、分かりづらいこともあるんです。

現在は、代表的なものとして
「持ち直し」「回復」は上向き。
「足踏み」「横ばい」は変わらず。
「弱含み」「悪化」で下向き
といったように景気の状態を表しています。

では改めて、今月の月例経済報告を見てみましょう。

「景気は急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」

前の月と全く同じ言葉を使いました。
ただし、政府は景気が「下げ止まったわけではない」と説明しています。

これは、どういうことかというと。

去年10月から政府は景気を「弱まっている」「下押し圧力」
「悪化」「急速に悪化」「厳しい状況」と表現。
さらに悪く、さらに悪くと5か月連続で「下方修正」してきました。

そして、今月は下方修正こそありませんでしたが先月と同じ表現に。
急激に下がり続けていて非常に厳しい状態であることに
変わりはないのです。

これを踏まえて、イチメン流に今月の月例経済報告を読み解くと。
「景気は先月と同じくらい急激な下り坂を駆け下りている」

ということになります。
以上、月例経済報告のイチメンでした。