日本テレビ「NEWS ZERO」

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2月2日イチメン "海賊退治"に自衛隊が?

先週、ソマリア沖に海上自衛隊を派遣する話が
大きなニュースになりました。

ソマリア付近に出没する海賊です。
今回、政府が自衛隊を派遣することを決めたのは、
こういった海賊から「日本の船を守る」ため。

では、それの何が問題とされているのでしょうか?

「アフリカの角」と言われるソマリアの周辺は、
ヨーロッパとアジアを結ぶ「海の交通の要」
日本の船も年間2000隻以上が行き来しています。

ソマリアは20年近くの間国に政府がない「無政府状態」
ソマリア市民の多くは貧困にあえいでいるため
中には「海賊」となって船ごと人を奪い
身代金を要求するやからもいるのです。

去年はこういった海賊事件が111件も起きました。
海賊行為は、お金に困った人たちのいわば
"ビジネス"になっていると言われています。

この「海賊」から日本の船2000隻をどうやって守るのか。

その答えとして政府が出したのが自衛隊の「海上警備行動」です。
海上で日本の船や日本人の命を守るのは
本来は「海の警察」である海上保安庁の仕事です。
しかし、海上保安庁では手に負えないような重大な事態に限って、
海上自衛隊を出動させることができます。
これが自衛隊法82条で決められた「海上警備行動」です。

ところが。この海上警備行動。
元々は「領海侵犯」つまり日本の近くで不審船が発見されたり
外国の潜水艦が入ってきたりを想定したもの。

 

今回のように海外のはるか遠くソマリアの海で
活動することは考えられていません。

そのため、色々と問題が起こってきます。
例えば、どんな時に「武器の使用が許されるのか」
これも難しい判断になります。

海賊と思われる船が近づいてきました。
まず、海上警備行動では海賊に停船を命じ
「威嚇射撃」を行うことはできます。

また、海賊がこちらに向かって銃を撃ってくれば
「正当防衛」として撃ち返すことも許されます。

ではもし、ものすごい量の武器を積んだ海賊が近づいてきたらどうでしょう?

武器は見えていてもこちらを撃つ意志があるかどうか
わからないので、正当防衛かどうか判断が分かれる問題です。

さらに、武器も人も見えない正体不明の船が近づいてきたら...。
自衛隊は船に向かって撃つことは許されません。
正当防衛にならないからです。

他にも難問はあります。

海上警備行動では近くで
外国の船が襲われているのを見つけても、
自衛隊はおそらく何もできません。
このように「行動の基準」や「任務の範囲」があいまいなまま
自衛隊は"見切り発車"することになります。
ここが、問題なのです。

そこで、与党はある青写真を描いています。
まずとにかく海上警備行動で自衛隊を3月はじめに出発させる。
そして、現地に向かっているひと月くらいの間に
国会で「海賊新法」を成立させる。
その中で、自衛隊の行動基準などをきっちり定めるという作戦です。

でも、今のねじれ国会の中でそう簡単に新法は通らないのでは、
という指摘もあります。

そんな中、今週中にも現地に準備のための
調査団が派遣される予定になっています。

以上、イチメンでした。