日本テレビ「NEWS ZERO」

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1月5日イチメン 死者500人超、ガザで何が?

今年最初のイチメンでしたが、
紛争のニュースをお伝えしなくてはいけません。

昨年末27日に突如として始まった
イスラエル軍によるガザ地区への大規模な空爆。
1月3日からは、地上での戦車による侵攻も始まりました。

すでに一般市民を含めた
500人以上もの命が犠牲になっています。

今回はわかりにくいこのニュースの基本を
説明してみたいと思います。

今回の紛争はアラビア半島と地中海にはさまれた地域で起こっています。
日本でいえば九州より1まわり小さいくらいの大きさです。

この地域ではイスラエルパレスチナの間で争いが起こっていて、
「イスラエル」はユダヤ教を中心とする国ですが
「パレスチナ人」はおもにイスラム教を信じています。

パレスチナ人はこの地域で
「ヨルダン川西岸」「ガザ地区」という
狭い地域の中に限って「自治」が認められています。
この両地区のことを「パレスチナ自治区」といいます。

そのうちガザ地区を事実上支配しているのが
イスラム原理主義組織「ハマス」です。
このハマスに対してイスラエル軍が
突如攻撃したというのが今回の出来事です。

武力の差は圧倒的で、死者の数をくらべても
イスラエル側の5人に対しパレスチナ側は500人以上に上っています。

年越しのこの1週間に何が起きたのか、振り返ります。

・12月27日、イスラエルはガザ地区に大規模な空爆を開始。
オルメットイスラエル首相「地上戦に踏み切る以外に選択肢はなかった」
・1月3日夜、地上戦に踏み切った。
ガザ侵攻の目的は、「ハマスのロケット弾発射施設への攻撃」
しかし、市街地にも攻撃が及んでいるため、
ガザの500人を超える死者は、およそ4分の1が一般市民。
5日朝には5人の子供が犠牲になったという。

・これに対し、ハマスも徹底抗戦。
ハマス高官「ガザ地区はイスラエル軍にとって墓場になるだろう」
イスラエルに向け相次ぎロケット弾を発射している。
イスラエル側でも、これまでに兵士1人を含む5人が死亡した。

・空爆開始からすでに10日以上
停戦の見通しはたたず、事態は泥沼化の様相を呈している。


この問題の発端ははるか過去にさかのぼります。

そもそも、この地域には紀元前の昔に
ユダヤ教徒が1000年以上もの間住んでいました。
しかし、その後ユダヤ教徒は世界中に散り散りとなり、
13世紀ごろからはイスラム教徒がおよそ700年の間支配しました。

事態がかわったのは第2次世界大戦のあとで、
ユダヤ教徒は各地で民族迫害を受けたためこの地に逃げてきました。

そして、1948年「イスラエル」という
新しい国家を作ることが国連に認められます。
しかし、これに納得できないイスラム教徒との間で
幾度と無く衝突がくり返されました。

その結果「ヨルダン川西岸」と「ガザ地区」という
2つの自治区にパレスチナ人が暮らす現在の形になったわけです。
では、なぜ今回の衝突が起きたのでしょう?

パレスチナの中ではここ最近は穏健派が実権を握っていました。
しかし、2006年になって強硬派が力を持ちます。それが「ハマス」です。
このハマスが「ガザ地区」を武力で制圧し支配を開始したため
イスラエルとの対立が一気に激しくなりました。

両者は去年6月一度停戦に合意したのですが、
その停戦期限が切れたのが12月19日。
この期限切れ直後にハマスはロケット弾攻撃を再開したため、
イスラエルは全面的な攻撃に出たのです。

ガザ地区は日本でいうと福岡市くらいの広さで、 
そこに140万人以上の人が住んでいます。 
ここで空爆が行われ地上軍が攻撃すれば 
民間人の犠牲者が出ることは目に見えていて
これからさらに増えることも心配されています。

イスラエルとハマスともに一歩もひけない状況の中、
停戦条件へEUや国連がどう誘導していくかに期待がかかっています。
以上、イチメンでした。