日本テレビ「NEWS ZERO」

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11月24日イチメン 高校生の中退~親の貧困が直撃~

先週発表された文部科学省の調査で
実は、2007年度に「経済的な理由」で高校を中退した生徒が
全国に2600人いることがわかりました。

「親の貧困が子どもの教育を直撃している」という現実。
いま日本を襲っている経済危機の影響で
今後この数字が増えていくことも心配されます。
今回、2600人のうちの1つのケースを
実際に取材することができました。

 

関東近辺にお住まいの鈴木英子さん(50代・仮名)。
18歳と17歳という年子の息子が2人います。

今年の春、家計が苦しかったことが原因で
二男が高校を中退しました。

以前はご主人と共働きで月収も60万円ほどあったそうです。 
ところが、その後ご主人が自殺。生活は、一変したといいます。

鈴木さん「スーパーで働いていて、
手取りにしたら月15万円行かないのが現状」
「もう一件掛け持ちをしてラーメン屋でお皿を洗ったり
4、5万稼がないと食費は出ないという状態」 

「ひとり親家庭」の補助金を受けても
鈴木さんのひと月の収入は20万円あまり。 
そこから高校の授業料、教科書代や修学旅行の費用など
息子2人で月に平均6万円。 
月収のおよそ3分の1が学費で消えていくのです 

「病院は行きません。風邪を引いてもケガをしても
病院にはかからないです」
「これ話すと私涙出ちゃうんですけど...
靴が買ってあげられなくて。
学校のスリッパあるじゃないですか」

「この靴を履いて1年間通ってましたね」
「電車もこれで、このスリッパで通学してたんです」

そんな生活が続いた今年の3月。

「朝起こしたら起きてこないんです」
「新学期に入るにあたって
(高校を)『やめたい』って...
本人の意志が固くて...
『いいよおれは働きたいから』と」

早朝から深夜まで働きづめのお母さんを見て
自分で高校中退を決めたカズヒロ君(仮名)。

現在は塗装関係の仕事をしています。

「やっぱり親として惨めです、悲しいです。
ふがいなさっていうのが一番ですよね」


鈴木さん、ご主人が亡くなるまでは
ごく一般的な暮らしだったそうです。
そんな家族に厳しい現実が訪れたことを知って欲しいと
取材に応じてくださいました。

では、こういった高校生が学業をあきらめないように
金銭面でフォローする制度はどうなっているのでしょうか?

その1つは「授業料減免制度」です。

これが認められると授業料そのものが
免除になったり減額になったりします。

公立高校の場合は都道府県が
私立高校の場合は多くがその学校自体でこういった制度を設けていて
「生活保護の世帯」や「ひとり親の世帯」などを条件に助けてくれる制度です。

もう1つは「奨学金制度」です。
これは多くの場合「貸し付け」なので卒業後に返済する必要があります。
最も一般的な奨学金は、都道府県単位で運営されていて、
公立高校に通っていると月に2万円程度、
私立高校だと月に4万円程度を無利子で貸し付けてくれます。

ただし、この奨学金も都道府県によっては
「第3者の保証人」が必要だったり
「本人の成績」「保護者の収入」など様々な条件がつくケースもあります。

鈴木さんの場合も奨学金を借りようと県の窓口を訪れると、
「保証人が必要だ」と言われ、保証人が見つからなかったため
借りることができなかったそうです。
「学びたいという意欲」だけではかなわないというのが現状。

村尾さんからは
「学びたいと思う生徒を放置すれば、『格差』が広がりつつあると言われる
日本の現状を助長することになりかねない。
授業料減免や奨学金制度は都道府県に大きな権限が任されているので
積極的な運用を期待したい」というコメントがありました。

ぜひ「学びたい」と思う生徒の気持ちを
くむような仕組みであって欲しいと思います。
以上、イチメンでした。