日本テレビ「NEWS ZERO」

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11月17日イチメン 歴史が変わった?"G20"

この週末アメリカで開かれた金融サミット「G20
歴史的に意味がある非常に重要な会議だった
とも評価されています。
これまでは考えられなかったような変化が起きたようです。

首脳が集まった夕食会でなにやら密談する2人。
ご存じ先進国アメリカのブッシュ大統領と
新興国ブラジルのルラ大統領。
今回のG20を象徴するような1枚です。

というのも、
これまでこの手の首脳会議といえば
G7と呼ばれる「日・米・欧」の
「先進国」が集まればそれで事足りていました。

しかし、今回はこれに加えて
経済成長が著しい「新興国」と呼ばれる国が
ほぼすべて参加しています。
中でも代表格はブラジル・ロシア・インド・中国。
これらの国は頭文字をとって「BRICs」と呼ばれていますね。

青く塗られたのが「先進国」。緑で塗られたのが「新興国」です。
地図でG20を見てみると地球上ほとんどの地域をカバーしています。

例えば、石油の高騰で急成長、
「資源国」を代表する中東のサウジアラビア。
他にも、アフリカ代表は「南アフリカ」。
オセアニア代表は「オーストラリア」と
これはまるで"経済のワールドカップ"といった顔ぶれなんです。

でも、なぜ「先進国」だけでは
ダメになってしまったのでしょうか。

今から15年前の1993年。
経済の大きさを表す世界のGDP(国内総生産)を見てみると、
G7がおよそ7割(約66%)を占め世界経済はいわば
先進国の言いなり」と言った状態でした。

ところが、去年を見てみると
G7の割合はおよそ半分強(約55%)まで後退。
ここに進出してきたのが「新興国」です。

今や、全体の約22%を占めるようになった
新興国の存在が無ければ世界経済は動きません。
つまり、この15年で
世界は新興国を無視できなくなった
と言えるのです。

また、今回のサミットではインドのシン首相が
「新興国は金融危機の原因ではないのに、
一番の被害者になっている」
と不満をあらわにしました。

今、世界中で経済は1つにつながっています。
金融危機が起こるまでの世界は
アメリカを中心とする「先進国」がモノを大量に買って、
「新興国」が経済成長。
それにより新興国もモノを買うようになって、
世界経済全体が成長するという
「良いつながり」がありました。

ところが、アメリカで金融危機が起こると、
これが「悪いつながり」に変身。

アメリカの平均株価は9月から26%下がりましたが、
新興国はそれ以上に暴落し
インドは35%、ロシアはなんと61%も
株価が下がってしまいました。
(9月始めから先週までの平均株価下落率)
金融危機の悪影響は瞬く間に世界を駆けめぐったのです。

今回の金融サミットで先進国は、
「金融危機を起こした失敗」を素直に認め、
これからは国際機関で
「新興国の発言力」を増やすと約束しました。

もはや、経済の回復も新興国を無視できないようですが、
村尾さんは今回のG20を3つの点で評価しました。

<①新興国の参加>
アメリカを中心として先進国主導の体制から
新興国を加えた新しい体制の始まり。 
<②市場への規制>
規制を緩和した自由な市場から、
政府による規制路線へ転換した。
<③各国の協調体制>
1929年の「世界恐慌」時、
各国は自分の国のことだけを
考えた閉鎖的な政策をとり、
それが第二次世界大戦をひきおこす原因に。
その反省に立ち今後1年、
新たな貿易障壁を設けないなど
各国で協調していこうという体制を作った。


今後、このG20は歴史の教科書にのるような
大きな節目になるかもしれません。
以上、イチメンでした。