この週末アメリカで開かれた金融サミット「G20」
歴史的に意味がある非常に重要な会議だった
とも評価されています。
これまでは考えられなかったような変化が起きたようです。
首脳が集まった夕食会でなにやら密談する2人。
ご存じ先進国アメリカのブッシュ大統領と
新興国ブラジルのルラ大統領。
今回のG20を象徴するような1枚です。
というのも、
これまでこの手の首脳会議といえば
G7と呼ばれる「日・米・欧」の
「先進国」が集まればそれで事足りていました。
しかし、今回はこれに加えて
経済成長が著しい「新興国」と呼ばれる国が
ほぼすべて参加しています。
中でも代表格はブラジル・ロシア・インド・中国。
これらの国は頭文字をとって「BRICs」と呼ばれていますね。
青く塗られたのが「先進国」。緑で塗られたのが「新興国」です。
地図でG20を見てみると地球上ほとんどの地域をカバーしています。
例えば、石油の高騰で急成長、
「資源国」を代表する中東のサウジアラビア。
他にも、アフリカ代表は「南アフリカ」。
オセアニア代表は「オーストラリア」と
これはまるで"経済のワールドカップ"といった顔ぶれなんです。
でも、なぜ「先進国」だけでは
ダメになってしまったのでしょうか。
今から15年前の1993年。
経済の大きさを表す世界のGDP(国内総生産)を見てみると、
G7がおよそ7割(約66%)を占め世界経済はいわば
「先進国の言いなり」と言った状態でした。
ところが、去年を見てみると
G7の割合はおよそ半分強(約55%)まで後退。
ここに進出してきたのが「新興国」です。
今や、全体の約22%を占めるようになった
新興国の存在が無ければ世界経済は動きません。
つまり、この15年で
「世界は新興国を無視できなくなった」
と言えるのです。
また、今回のサミットではインドのシン首相が
「新興国は金融危機の原因ではないのに、
一番の被害者になっている」
と不満をあらわにしました。
今、世界中で経済は1つにつながっています。
金融危機が起こるまでの世界は
アメリカを中心とする「先進国」がモノを大量に買って、
「新興国」が経済成長。
それにより新興国もモノを買うようになって、
世界経済全体が成長するという
「良いつながり」がありました。
ところが、アメリカで金融危機が起こると、
これが「悪いつながり」に変身。
アメリカの平均株価は9月から26%下がりましたが、
新興国はそれ以上に暴落し
インドは35%、ロシアはなんと61%も
株価が下がってしまいました。
(9月始めから先週までの平均株価下落率)
金融危機の悪影響は瞬く間に世界を駆けめぐったのです。
今回の金融サミットで先進国は、
「金融危機を起こした失敗」を素直に認め、
これからは国際機関で
「新興国の発言力」を増やすと約束しました。
もはや、経済の回復も新興国を無視できないようですが、
村尾さんは今回のG20を3つの点で評価しました。
<①新興国の参加>
アメリカを中心として先進国主導の体制から
新興国を加えた新しい体制の始まり。
<②市場への規制>
規制を緩和した自由な市場から、
政府による規制路線へ転換した。
<③各国の協調体制>
1929年の「世界恐慌」時、
各国は自分の国のことだけを
考えた閉鎖的な政策をとり、
それが第二次世界大戦をひきおこす原因に。
その反省に立ち今後1年、
新たな貿易障壁を設けないなど
各国で協調していこうという体制を作った。
今後、このG20は歴史の教科書にのるような
大きな節目になるかもしれません。
以上、イチメンでした。