日本テレビ「NEWS ZERO」

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6月2日イチメン 環境問題vs食糧問題

きょうのイチメンは、バイオ燃料について。

地球温暖化対策の"切り札"と言われたバイオ燃料に対して、
「食糧問題をき起こしている」という批判が生まれているんです。
それは"将来の環境問題"か?"目の前の食糧問題"か?という綱引きなんです。
まずは、こちらをご覧ください。

大量にトラックへ積み込まれているのは、トウモロコシ。
これは、食べるためではなく、バイオ燃料の原料として工場に運ばれます。

環境に優しいとされるバイオ燃料は、
98年の3218万㌔・㍑からこの10年で生産量が2倍になるほど急増しました。
そのうち、40%以上を生産しているのが、
トウモロコシからバイオ燃料を作っているアメリカです。

その現状を見てみると、
なんとバイオ燃料の原料となるトウモロコシ畑が、去年1年で14.4%も急増。
一方で、私たちが食べている大豆の畑は15.8%も少なくなりました。

つまり"食の畑"が"燃料の畑"に変わった、ということです。

また、アメリカはトウモロコシの輸出大国でもあるのですが、
今年は1億トン以上のトウモロコシがバイオ燃料の原料となる見通しで、
これは、アメリカが輸出する量の2倍に相当します。

では、本当にバイオ燃料が食べ物を奪い、値段を上げているのでしょうか?

アメリカ農務省は、「トウモロコシ価格が50%上がっても、 
小売り段階での食品価格の値上げは、1%未満にとどまる」 として
価格高騰の影響を否定しています。
しかし、民間の農作物研究機関は、「世界がバイオ燃料の生産を一時的に停止すれば、
トウモロコシの価格は20%下がる可能性がある」と発表。
アメリカ国内でも意見が分かれているようです。

バイオ燃料に賛成か?反対か?
食糧危機に関する国連の緊急会合で、各国は激しく対立しました。

賛成派のブラジルは、
「バイオ燃料はきれいで安く農村の雇用を助けている」
アメリカも「バイオ燃料の可能性に期待している」と
バイオ燃料を推進する考えを示しました。

一方、反対派のインドは、
「バイオ燃料のせいで食糧を作る農地が無くなっている」
ギニアは、「バイオ燃料にギニアの土地は使わせない」と激しく批判。
両者の意見は真っ向から対立しています。

なぜ、このように各国の意見が対立するのでしょうか?
専門家にお聞きしました。  

つまり、食糧を"持つ国"と"持たない国"の対立だというのです。

いずれにせよ明日から始まる食糧サミットでも"バイオ燃料"をどうするかが、
大きな争点となりそうです。
環境問題も食糧問題もどちらも大事な問題なんです。
以上、イチメン!でした。