日本テレビ「NEWS ZERO」

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4月28日イチメン "高齢者医療"若者も関係アリ

補欠選挙の結果を受けて
「後期高齢者医療制度」が改めて注目されています。

補選が行われた山口県の街頭で
「後期高齢者医療制度」に
反対のシールを貼る有権者たち。

福田総理も敗因をこんな風に語っています。

「完敗しましてね。
長寿(後期高齢者)医療制度も大きかった」

選挙の勝敗を分けた後期高齢者医療制度。

この制度を維持するのに
実は年間11兆円のお金が必要なんですが、
そのうちの4兆円あまりを僕ら現役世代が支えている
ということをご存じでしょうか?

つまり、この問題はお年寄りだけでなく
若者が「高齢者の医療をどう支えていくのか」
という問題でもあるんです。

では、後期高齢者医療制度は
そもそもどんな狙いがあったんでしょうか?

実は、この制度の一番の狙いは
「各世代の負担を明確にする」というものでした。

今までの「老人保健制度」でも国や地方自治体、若者やお年寄り自身が
お金を出し合って高齢者の医療を支えていました。

みなさんが入っている「健康保険」の中から毎月お金を出していたんです。
しかし、これだと「どの世代がどれだけの負担か」が分かりません...。

そこで、後期高齢者医療制度ではまず75歳以上の
「後期高齢者」を健康保険から切り離します。

そして、ここにかかる費用を国や自治体からの
公費【5】若者【4】高齢者【1】という割合で負担する
ということを「明確」にしました。

今回、高齢者に負担してもらう【1】の部分が
問題になったというわけなんですが...。
ではなぜそんなに不評を買ったのでしょうか?


この後期高齢者医療制度では
今まで保険料を払っていなかった
一部のお年寄りに新たな負担を求めています。

それはいわゆる「扶養家族」と呼ばれる人たちで、
例えば「サラリーマンの息子の
健康保険に入っていた75歳の女性」が
これに当たります。

本来ならこの4月からこういった人たちの
保険料「徴収」が始まるはずだったのですが...。

参院選で大敗した与党が去年の秋にあわてて
半年間「徴収を凍結」するというルールを作りました。
これにより徴収を担当する各地の自治体は大混乱。
「徴収ミス多発」の原因の1つになったと見られています。

この他にも、町村官房長官が
「7、8割のお年寄りは保険料が値下がりする」
という舛添大臣の発言を紹介しましたが、
この発言には根拠がないことも明らかになりました。

制度が始まってみれば保険料は
上がる人と下がる人がまちまち。
「年金問題も解決していないのに年金から天引きか」
といったお年寄りの声が聞こえてきます。

また、制度が始まって1か月もたつのに
まだ2万枚もの「保険証」がお年寄りに届いていない
ということが分かるなどお粗末な対応の数々が
高齢者の怒りを買ったと言えそうです。

村尾さんからは次のようなコメントをいただきました。
『高齢者の負担を明確にするため、後期高齢者を抜き出して
制度を作った事情はある程度分かります。
しかし、そもそも医療は年齢や収入に関係なく、
政府が必ず補償しなければいけないものです。
保険料負担に応じて医療サービスの範囲が
決められる様な事があってはならないのです』
『政治が今までこの問題と真剣に向き合ってこなかったツケが
回ってきたのではないでしょうか。医療を全ての国民でどの様に支えていくか。
消費税など税負担のあり方を真剣に議論すべき時ではないかと思います』

お年寄りの医療を支える僕ら若い世代も
この制度の行方をしっかり見守らなくてはいけません。
以上、イチメン!でした。