日本テレビ「NEWS ZERO」

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3月10日イチメン 宇宙に"日本の家"?

日本人宇宙飛行士、土井隆雄さんの
2度目のスペースシャトル搭乗が
いよいよ翌日に迫った今回のイチメン!
土井さんはどんな目的を持って宇宙へ行くのでしょうか?

実は、今回のフライトは
日本の宇宙開発にとって大きな一歩になりそうなんです。

 

「日本に初めての宇宙の家、
私たち日本人が自由に使える家ができるということです」

宇宙に日本の家。
いったい、どういうことなんでしょうか?

今回、土井さんがスペースシャトル・エンデバー号で目指すのは
「国際宇宙ステーション」です。

 

国際宇宙ステーションは1984年に計画がスタートした
「国境のない宇宙の巨大研究所」。
アメリカ・ロシア・日本など世界15か国が参加しています。

 

大きさは約8000㎡とサッカー場くらい。
時速は2万8000キロの猛スピードで、なんと約90分で地球を1周しています。

 

そして、現在ステーションには
3人の宇宙飛行士が長期滞在しています。
しかし、これまでここに日本の「居場所」はありませんでした。
様々な実験をするのに日本はアメリカの施設やクルーを借りていたんです。

 

そこで!今回、土井さんがスペースシャトルで運び
宇宙ステーションに設置するのが、
日本にとって初めての有人宇宙施設「きぼう」です!

 

つまり、これが土井さんの言っていた「日本の家」というわけです。

「きぼう」は3回に分けて宇宙に運ばれますが、
今回、最初に運ぶ第1便は「船内保管室」と呼ばれる倉庫の部分です。

 

ステーションにドッキングしたシャトルの背中から
「船内保管室」が取り出され、取り付けられます。

 

このあと「きぼう」は5月の第2便でメインの「船内実験室」を運び、
12月には若田宇宙飛行士による「日本人初の長期滞在」が待っています。
その後、来年2月に第3便、残りの部分を打ち上げて「きぼう」は完成する予定なのです。
と、ここまではとても夢のある話ですが...

 

実は「きぼう」の開発には約2500億円もの費用が投じられています。
では「きぼう」には、どんなことが期待されているんでしょうか?

その1つの例として「新薬の開発」が挙げられます。

 

最近の新薬の開発には人間を構成している
「たんぱく質」の解析が欠かせないのですが、宇宙の無重力状態を利用することで
地上では得られないたんぱく質の「きれいな結晶」を作ることができます。

そして、宇宙空間でできた良質な結晶を
地上に持ち帰って解析することでたんぱく質の「形」が正確にわかり、
それが例えば副作用の少ない鎮痛剤などを
生み出すことにつながると期待されています。

また、ちょっと驚いたのですが
「老化の研究」というのもプログラムの中に入っています。

 

宇宙飛行士が無重力状態に長く滞在すると、
「骨・筋肉・内臓」などが急激に衰えてしまいます。
(そのため宇宙飛行士は滞在中毎日2時間半のトレーニングが課せられています)

実は、これが人間の「老化」とよく似ているんだそうです。

宇宙は人間が短期間に老化を経験する空間...
この宇宙飛行士の経験を生かして「寝たきりになった時の筋力トレーニング」や
老化に効く新薬の開発などにつなげられないかとも、期待されているのです。

 

「きぼう」が完成すると日本独自の研究や実験が増加する予定です。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)では
国際宇宙ステーションに長期滞在する人を確保するため、
4月から新たな日本人宇宙飛行士の募集も始めるそうです。
以上、イチメン!でした。