日本テレビ「NEWS ZERO」

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2月25日イチメン 27年後「異例逮捕」のワケ

27年前に起きた日本人夫婦銃撃事件から
持ち上がった「ロス疑惑」。
日本で無罪が確定した三浦和義容疑者が
先週土曜日(日本時間)ロス市警に逮捕されたという
衝撃的なニュースが飛び込んできました。
なぜアメリカの捜査当局は逮捕できたのか?
その理由は日本とアメリカでの
司法制度」の違いが大きいようです。

まず、これまでの経緯をおさらいすると、
1981年11月。
ロサンゼルスで三浦容疑者と妻の一美さんが
何者かに銃撃され、三浦容疑者は左足を負傷、
頭部を撃たれた一美さんがその後死亡するという
事件が発生しました。

三浦容疑者は殺人罪で88年に起訴。
94年には東京地裁で無期懲役の有罪判決を受けます。
しかし、98年の東京高裁では逆転無罪。
殺人罪に関しては2003年に「無罪が確定」しました。

それではなぜ、日本で無罪になった人を
なぜアメリカ側が逮捕できるのでしょうか?

日本は憲法で「一事不再理」という原則を決めています。
これは「同じ罪で2度裁かれることはない」という意味です。
なので、無罪が確定した三浦容疑者を
日本で再び裁くことはできません。

しかし、この原則はその国の中だけでの話です。
だから、日本で無罪になっても、
これまで1度も裁判をしていないアメリカ側は
捜査をすることが可能なのです。

次に、もう「時効」ではないか?という疑問ですが...

たしかに当時、日本の刑法では殺人の時効は15年。
(現行の刑法は殺人罪の時効が25年)
事件から26年以上経ち日本なら時効が成立しています。

しかし、アメリカでは保険金殺人など悪質な殺人を
「第一級殺人」として区別していますが、
これには一般的に「時効がありません」。

調べてみると、主要国ではイギリス、フランス、ドイツなど
殺人という重大犯罪に対して時効を認めない国も多いのです。

さらに、もう1つ。
この事件は「日本人の関与」が疑われる一方、
「アメリカで起こった」という特徴があります。
こういう場合、どちらの国が裁くのでしょうか?

このロス疑惑では日本側は「属人主義」。
つまり「誰が」疑いをもたれているかを重視。
三浦容疑者が日本人だという理由で
最初の捜査・裁判は日本が担当しました。

一方アメリカ側は今回「属地主義」といって
「どこで」犯罪が起きたかを重視しました。
つまり、ロサンゼルスで起きたという理由で
捜査することができるわけです。

以上、見てきたような理由から
アメリカ側が捜査することは「理論的」には十分可能です。

しかし、日米両国では「犯罪人引渡し条約」
というものが結ばれていて、
判決が確定している場合は
引渡しはできないとされています。
従ってどんなにアメリカ側の捜査が進んでも
日本にいる限りはアメリカの捜査当局に
逮捕されることはありません。
つまり、今回三浦容疑者は
サイパンに行ったために
逮捕されたというわけです。
※サイパン島(北マリアナ諸島)はアメリカ合衆国の自治領

村尾さんからは
「理論的には問題なしとは言っても
『日本で無罪判決を受けた日本人をロスへ連行して裁くとしたら、
"新たな証拠"というのは相当強力な証拠のはず』
という見方があります。
ただ実際にそれが、銃などの物証なのか
共犯者の証言なのかなど全く明らかにされていません。
まもなく始まるロス市警の会見で、
『新しい証拠』について注目が集まります。」
というコメントがありました。

以上、イチメン!でした。