日本テレビ「NEWS ZERO」

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11月26日イチメン 規制緩和でタクシー値上げ?

僕らは「規制緩和」というだけで
いいイメージを持ちがちですが、
それだけではないようです。

東京ではついに12月3日に
タクシー料金が初乗り660円から
710円に値上げされます。


調べてみると、全国の半分以上の地域で
今年に入ってからタクシーの「値上げ申請」が
されているんですが、
中には、盛岡市のように
6月に「値下げ」したところもあるのです。


そうかと思えば、金沢市では
市内のタクシー会社の多くが
8月に「値上げ申請」したあと
9月に今度は「値下げ申請」。
そして、今月に入ってこの値下げ申請も「撤回」と、
なんだか混乱していますね。

いま、日本のタクシーに何が起こっているのでしょうか?
キーワードになるのは「規制緩和」です。

戦後、日本のタクシーには
「料金」と「台数」の2つの規制がありました。
料金は「認可制」。また「台数制限」と言った形で
国がタクシーの数を管理していました。


しかし、国は大きくこの規制を緩めます。
料金は97年に上限と下限を決めて
その範囲内では「自動認可」という形に。
さらに、2002年には台数制限を「撤廃」!
新規参入しようとする業者に
積極的に許可を与えるようにしました。

この規制緩和の狙いは
「新しい業者を増やすことで
サービスや価格の競争を起こそう」

というものでした。


その規制緩和から5年以上が経ち
新規参入などもあって
全国のタクシーはおよそ2万台も増えました。
ところが!一方で、
運転手さんの年収はどんどん目減りして
規制緩和の時期から
平均80万円以上も減ったのです。

苦境に立たされるタクシー業界。
なぜこんなことが起きたのでしょうか?
僕らがタクシーを使う時、
特に都市部では道路を走っている
「流し」のタクシーを止めるか
タクシー乗り場などで「駅待ち・辻待ち」を
使うことが多いですよね。
この場合、自分では好きなタクシーを選べません。
つまり、特にタクシーの場合消費者にとっては
「料金やサービスを選びづらい」という特徴があって
当初期待されていたほど競争は起こりませんでした。

むしろ、タクシー会社はお客をたくさん拾うために
タクシーの台数を増やしたのです。
台数が増えれば1台あたりのお客さんの数が減る。
だから、当然「歩合制」でお給料をもらう
運転手さんは収入がどんどん減ってしまいました...。

こんな状況に苦しむタクシー業界は
料金を上げてとりあえずの売上金を増やしていくか、
料金を下げてお客さんを増やすか、
悩みに悩んで混乱が起きている、ということなんです!

ちなみに、世界の主要都市を見てみると
ニューヨーク(アメリカ)、パリ(フランス)、ローマ(イタリア)では
いま現在もタクシーの「台数規制」を行っていて
台数に関して規制が無いのは東京くらいなんですね。
※ロンドン(イギリス)はタクシー運転手になるための
免許を取るのが難しいので実質「台数規制」になっている。


また、日本にも「緊急調整地域」という制度があって
来年1月から仙台市が指定される見通しです。

これは、規制緩和によって売り上げが落ちたり
事故が増えたりした地域で
一時的に「新規参入」や「増車」を禁止にするものです。

日本の規制緩和も見直しの動きがあるようですが
タクシー業界に合った規制緩和のカタチを
探る必要があるかもしれません。
以上、イチメン!でした。