10月13日、舛添厚生労働大臣は
日本のいわゆる「ドラッグ・ラグ」の期間を
現在の4年から欧米並みの1年半に短縮するため、
審査制度の見直しをすると明言しました。
2回にわたってお伝えしている
「ドラッグ・ラグ」をおさらいします。
ドラッグ・ラグは世界で広く認められている新薬が
日本ではなかなか承認されずに使えないという問題で、
「薬の時間差」=「ドラッグ・ラグ」と呼んでいます。
世界で見ると、ドラッグラグの平均が
一番短いのはアメリカの1.38年。
日本はと言うと...3.88年と、
データのある66か国中38位という遅さなんです。
■新薬ができるまで
このドラッグラグが日本で起きている原因として、
薬が承認されるまでの課程で
・実際に人間に投与する「治験」
・薬の効果と安全性を確かめる「審査」
この2つに時間がかかるという問題が指摘されています。
■マンパワー不足
新薬の安全性や副作用を確認する審査官は現在、
アメリカの2200人に対して日本はわずか200人
圧倒的な数の少なさが指摘されてきました。
10月13日。
この問題に関して舛添厚生労働大臣は、
舛添厚労相
「あらゆる新薬について
承認の期間を早めたいと思います。
5年以内にアメリカ並みの新薬承認のスピードに
持っていくために具体策に取りかかっています。」
「一番大変なのは審査官の数が足りないこと。
審査する専門家を3年以内に倍増します。
ドラッグラグの4年を1年半にするのが
私の公約と言ってもいい。」
と発言しました。
■審査官の数
審査官を3年で倍増させるということは、
200人が400人になるということ。
それだけ、審査官の負担も減りそうです。
ただし、課題もあります。
「一体、誰がこの審査官になるのか」
という問題です。
新薬の審査には極めて専門的な知識が必要です。
たとえばアメリカなどは、
薬を審査する「官僚」
薬を作る製薬会社などの「産業」
薬を研究する「学問」
の「官・産・学」の三角形で
さかんに人材が行き来しています。
ところが、こういった交流が盛んでない日本で、
専門知識や高い志が求められる審査官を
あと200人も集められるのか、という課題は残っています。
とはいえ、現役の厚生労働大臣が
ドラッグラグの解消を「公約」とまで言い切るのは
いままで無かったことです。
確実な一歩といえるでしょう。
■板挟み
ドラッグラグの問題は、
ただその時間を短くしようとして審査を急げば
安全性がおろそかになり薬害が心配されます。
新薬の審査はこのドラッグラグと安全性の
板挟みともいえ非常に微妙な問題です。
舛添大臣にはこれからその実行力が問われます。
以上、イチメンでした。