日本テレビ「NEWS ZERO」

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9月17日イチメン 自民党総裁選のフシギ

安倍首相の突然の辞任から始まった
今回の自民党総裁選。
麻生候補は、演説した秋葉原で
一部熱狂的な支持を受けた一方、
早くも福田候補の大きなリードが伝えられています。

この「総裁選」。ご存じの通り事実上日本のリーダー
「総理大臣を決める選挙」です。

 

とはいっても、やはり他の選挙とは違って
自民党の党首を決める選挙なので
「公職選挙法」などの法律に縛られることはありません。
そして、自民党が決める
総裁選挙のルールはたびたび変わってきました。

 

例えば、総裁選への立候補には国会議員の推薦人が必要です。
初めてこの制度が導入された1972年は10人必要でした。

ところが、中曽根総裁が初めて
当選した82年の総裁選では、
なんと50人もの推薦人が必要に!

現在では20人に落ち着いていますが、
「大きな派閥からしか立候補できない」
という批判もあります。

 

また、昔はどうしても総裁になりたい候補が
「実弾」つまり、お金をばらまいて
問題になった時期もありました。

例えば、敵対する派閥の国会議員を1人ずつ
現金で買収することは「一本釣り」。
小さな派閥をまるごと買収すれば
「トロール漁法」なんて呼んでいたそうです。

お金が飛び交うほど激しい選挙戦だったので
投票用紙にも面白いことが起こりました。

こちらは1972年の総裁選で
実際に使われた投票用紙のコピーです。

 

これは「たなかかくえい」と簡単な字なのに
ひらがなで候補者名を書いています。

 

タテの投票用紙にわざわざ横書きしています。
しかもカタカナで「フクダタケオ」と書いてあります。
(ちなみにこの福田赳夫元首相のご長男が、
今回の総裁選の候補者、福田康夫さんですね)

 

枠の右上に、これほとんど見えないくらい小さく
「福田赳夫」と書いてあります!
どれも非常に特殊な書き方をしていますが、
どうしてこんなことするかわかりますか?

 

実はこれ、誰が誰に投票したか
分かるようにするためのサイン。
事前に「私はこう書きますよ」と伝えておいて
候補者側にアピールするんです。

また、派閥で書き方を決めて「寝返りを防止」する
という意味もあったようです。


しかし、自民党でもこういう不透明な総裁選は
やめよう、という動きもありました。

 

1978年のルール変更で
取り入れられたのは「予備選挙」。
これで、国会議員だけでなく
一般の国民も自民党員になれば
投票に参加できるというわけです。

ただし、今回の総裁選では
安倍首相が国会の会期中に辞任するという
「緊急事態」なので、なるべく早く
次の総裁を決めなければなりません。

そのため、通常とは違う
「簡略型」のルールで総裁選を行うのです。
そのルールは
①自民党の国会議員の票(=387票)
②各都道府県連に1つにつき3票(=141票)
の投票の合計(=528票)で争うというものです。

投票日まで時間がないので
予備選挙をやるかどうかは
各都道府県の自民党連に任されています。

 

こちらはお借りしてきた神奈川県連の投票用紙。
「候補者名は新聞やニュースなどでご確認下さい」
なんて書いてあります!
やはり普通の選挙とはだいぶ様子が違いますね...。

 

今回、およそ35の都道府県連が予備選挙を行います。
党側は事前にこの結果がもれないよう指示していますが、
東京都連などは公表すると言っています。
この「国民の声」には国会議員も敏感なので
地方の結果によっては
「流れが変わる可能性」もあります。

今回、どのような形で
日本のリーダーが決まるのか
見守りたいと思います。
以上、イチメンでした。