日本テレビ「NEWS ZERO」

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4月9日イチメン 黄砂はアジアの環境問題?

今週は中国の温家宝首相よりも
一足早く中国からやってきた「あるもの」に注目しました。

これは、先週の神戸の写真ですがなんかボヤッとしていますね...。
でも、霧でも雲でもありません。実はこれ「黄砂」なんです。

僕も、先週自動車の窓がだいぶ汚れていたのに気付いたんですが
それが「黄砂」のせいだって聞いたので
気になって調べてみたんです。
すると、今年の黄砂は
とても広い範囲で観測されるのが特徴のようで
先週月曜日には45の都道府県で観測されていました。

そもそも、黄砂の生まれ故郷は中国の砂漠地帯。
タクラマカン砂漠やゴビ砂漠など
シルクロードとして有名な中央アジアの地域で、
砂あらしによって砂漠の砂が巻き上げられます。

巻き上げられるのはこんな砂です。
これは実際に中国のタクラマカン砂漠で取れた砂です。
触ってみるとけっこうざらざらしていました。

巻き上げられた砂は全部日本に届くわけではなく
サイズが大きくて重いものは
当たり前ですがすぐに落ちてしまいます。
比較的細かいものだけが
偏西風に乗り中国の都市部や韓国を通過します。

そして、最終的に海を越えて
日本にたどり着くのはとても細かい黄砂なんです。

今回、大変貴重な資料をお借りしてきました。
実際に奄美大島で採取された100%の黄砂です。

砂というよりは粉のようで
採取の時に使ったフィルターにびっしりとくっついていました。

日本までたどり着く黄砂はものすごく細かい上に
粘土質なんで、繊維やガラスにすぐくっついてしまいます。
だから、自動車の窓があんなに汚れてたんですね。

さて、こちらは黄砂を電子顕微鏡で見た写真です。
この黄砂は0・005ミリ程度。
大きさにはばらつきがありますが
中には、スギ花粉の1万分の1という
細かいものもあるんだそうです!

これほど細かくて軽い黄砂は、なんと地球を半周以上まわった
グリーンランドの氷の中からも見つかっているんです!

また、黄砂に含まれる鉄分が
海のプランクトンにとって重要な栄養素になったり、
ハワイのジャングルに大切なミネラルを
補給しているという話まであります。

地球の上空を漂う黄砂は太古の昔から自然界で
大切な役割を果たしてきたんです。

でも、一方で最近ではちょっと心配なこともあります。

ここ数年、問題になっているのが黄砂による「大気汚染」です。

日本に飛んでくる黄砂を詳しく調べると
排ガスなどに含まれる化合物などが
黄砂にくっついていることもあります。

その理由として、
黄砂が中国や韓国の工業地帯を通る時に
これらの大気汚染物質を拾って、
日本まで運んでくるのでは?との見方があります。

黄砂が花粉症やぜんそくなどの
アレルギーを悪化させるという研究もあるので
健康への被害が心配されています。


また、別の問題として
現在中国は国土の面積の約18%、
日本の国土の実に4.6倍が砂漠化しているんです。
砂漠化の範囲は現在も広がっていて
これが黄砂の発生を加速させるのではないかと心配されています。

このように見てくると黄砂は日本のみにとどまらない
アジア全体の環境問題と言えますね。
以上、黄砂に注目したイチメンでした。