日本テレビ「NEWS ZERO」

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2月12日イチメン 映画祭の意外な裏の顔

現在、「ベルリン国際映画祭」が開催中。
今年度のアカデミー賞にもノミネートされた『硫黄島からの手紙』が
そこで特別上映されるということで、この日は「映画祭」からのイチメンでした。

ベルリン国際映画祭が創設されたのは1951年。
資本主義のアメリカと共産主義のソ連が激しく対立する
「東西冷戦」の真っ最中で、当時の西ドイツ(資本主義側)が
「資本主義は映画祭を開けるほど豊かだ」
ということをアピールするために始めたと言われています。

冷戦が終わった現在では、旧共産圏の作品も出品されるようになり
ベルリン国際映画祭は「カンヌ国際映画祭」「ベネチア国際映画祭」と並んで
「世界3大映画祭」の1つに数えられています。

ベルリンの街はシンボルがクマということで
ベルリン映画祭の最高賞は「金熊賞」。
カンヌ映画祭が「シュロ」という木をあらわす「パルムドール」(金のシュロの木)。
ベネチア映画祭はライオンを表した「金獅子賞」といったように
どれもその土地に「ゆかりのあるもの」を最高賞の名前にしています。

さらに、この3大映画祭に興味深い「共通点」を見つけました。

それは、たとえ最高賞をとったとしても一切「賞金」が出ないということです!

調べてみると、国際映画祭の多くは受賞しても賞金が無く、
与えられるのは、言ってみれば「栄誉」だけなんです。
では、それでも競って映画祭に出品するのはなぜなんでしょうか?

この写真をご覧下さい。

何やら交渉をしていますが、
実はこれも映画祭の一つの顔。ベルリン映画祭で
「映画が売り買いされている」まさにその瞬間です。

つまり、国際映画祭は「巨大な映画のマーケット(見本市)」でもあるんです!

レッドカーペットがあるメーン会場の近くには
必ずと言っていいほどこのような「マーケット」が併設され
世界中の関係者が映画を売り買いします。

国際映画祭は出される作品のほとんどが未公開で、
いわば「新作映画の発表会」。

例えば『ZERO』という映画をカンヌ映画祭に出すとします。

すると、相場では1本500万円くらいだったものが、
受賞候補作になっただけで10倍の5000万円が付き
最高賞のパルムドールを取れば20倍の1億円が付く、といった具合に
受賞によってマーケットでの値段も10倍20倍に跳ね上がるというんです!


ところで、「アカデミー賞」が3大映画祭に
入っていないのって不思議だと思いませんか?

同じ映画の賞として有名なアカデミー賞ですが
これは、主にアメリカ国内で「すでに公開された作品」を対象に
審査をしているため「国際映画祭」とは違うものとされています。

国際映画祭は先ほども言ったように「これから公開する新作映画の発表会」で、
アメリカのアカデミー賞は「公開してヒットした作品の品評会」
といった見方もできます。


『硫黄島からの手紙』もアメリカ、日本ではすでに公開され
アカデミー賞にもノミネートされていますが、
ヨーロッパでは未公開だそうです。
だから、伝統あるベルリン映画祭での「特別上映」が
ヨーロッパ初披露の場に選ばれたということなんですね。

今回は「映画祭の意外な裏の顔」に注目した、イチメン!でした。

 

 

ドイツ人が見た硫黄島

■ベルリン国際映画祭■

今年で57回目を迎えるベルリン国際映画祭。総出展作品400本。
世界各国から18,000人もの報道陣、映画関係者が訪れる世界最大規模の祭典だ。

なんとこのレッドカーペットに嵐の二宮和也さんが登場!
さらに、クリント・イーストウッド監督、渡辺謙さん、伊原剛志さんなどの姿も!
実はこの映画祭で、日本側からの視点で大戦中の硫黄島を描いたこの「硫黄島からの手紙」が
特別招待作品として上映されたのだ!

ドイツの首都ベルリンはヒトラー率いるナチスドイツの総司令部があった場所。
戦時中は多くの犠牲者を出していた。果たしてベルリンの人々に「硫黄島からの手紙」は
どのように映ったのだろうか?

Q・この映画は気に入りましたか?
「いいえ。あまり気に入りませんでした。戦争映画というとヒトラーを思い出すので・・・」
   
「アメリカが日本人の立場から映画を作ったのは良かったと思う。
ドイツも過去においてそうだった。ナチスが若い人を殺したりもした。」

ZEROはこの反応を二宮くんに見てもらった。

「本当に意志の強い映画で、言葉だろうが時代背景だろうがそういうものがいっ
さい邪魔にならない。見た人が一瞬でも一秒でも『戦争は良くない』って思いに
なれば、これはノーベル賞にいくべきなんじゃないかなって皆で言っていたこと
があって。(映画祭に来て久しぶりに)皆の顔を見て、またそう思いました。」