日本テレビ「NEWS ZERO」

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1月29日イチメン 南極観測50年と氷の秘密

日本の第1次南極観測隊が初めて南極に上陸し
「昭和基地」という名前の基地を作って観測を始めたのは
1957年1月29日のできごと。
今回のイチメン放送当日は日本が南極を観測し始めてから
ちょうど50年目の日でした。

そこで、南極について色々調べてみたんですが
そもそも、南極ってどこの国の領土かわかりますか?

実は南極はどこの国でもないんです。
これは、日本も参加する条約できちんと決められています。

現在、世界46か国が結んでいるこの「南極条約」には、
南極を「平和的な利用に限る」ことや
「領土として主張しない」ことなどが定められています。

この条約があるおかげで南極はどこの国のものでもない
「平和の大陸」というわけです。

ところが、この平和の大陸も今、ピンチが伝えられています。

最近公開された映画『不都合な真実』の中では
南極の氷が地球温暖化の影響で
失われつつあると報告されています。

実際、NASAなどの調査では2002年から2005年までの
わずか3年あまりの間に約456万キロ立方メートル
なんと琵琶湖16.5個分もの氷が溶けて無くなったというんです。

南極の氷は世界の淡水の実に90%を占めていて
もし、万が一全部が溶けたら海の水が
最大で70メートルも上昇するという恐ろしい話もあります。

でも、南極の氷には溶けたら困るもう1つの秘密があるんです。
それは南極の氷が「地球のタイムカプセル」としての役割を果たしているからです。
一体どういうことなんでしょう?

そこでスタジオには、本物の「南極の氷」を持ってきました。

これは日本の南極研究の中心「国立極地研究所」から、
貴重な資料をイチメンのために分けていただいたものです。

見たところ普通の氷に比べて白くて、透明度は高くありません。
実は、氷が白いのは「空気」が入っているからなんですね。

南極の氷は、何十万年もかけて降り積もった「雪」が
その重みで押し固められることでできていきます。
そして、その氷には氷ができた時の「空気」も
一緒に閉じこめられているんです。

つまり!この白く濁った氷の中には
「数万年前の空気」がいっぱい詰まっているというわけです!
実際、用意した水槽に氷を入れると...

小さな泡がいっぱい出てくるんです。「プチプチ」と音もしました。
これがまさに「太古の地球の大気」。
だから、南極の氷は数万年前の空気をそのまま残す
「地球環境のタイムカプセル」なんですね!

国立極地研究所ではこの空気を
詳しく分析して様々なデータを集めています。

例えば「2万年ほど前と比べて地球大気の二酸化炭素がものすごい勢いで増えている」
ということも南極の氷のおかげで確かめられるんです。

地球の昔の姿を知るための貴重な資料。
温暖化で失うようなことがあってはいけませんよね。
きょうは、南極観測50年と氷の秘密に迫りました。イチメンでした。