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本職はあくまでもアイドル 映画「大奥」主演の二宮和也
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201010080311.html

幅広い世代に支持される国民的アイドルグループ「嵐」のなかで、演技の評価が高い。クリント・イーストウッド監督のハリウッド映画「硫黄島からの手紙」では、内地に残した妻を思い、死を恐れる兵士をリアルに演じて注目を集めた。今回は初の時代劇で、新たな一面を見せている。

主演映画「大奥」(金子文紀監督・公開中)は、謎の疫病で男が激減してしまい、男と女の立場が逆転した江戸の世を描く。女の将軍・吉宗(柴咲コウ)に3千人の男が仕える大奥で、青年武士・水野(二宮)は剣の腕と器量で出世していく。吉宗に見初められるが、それは過酷な運命の始まりだった。

「かつらをつけるのが大変、着物は暑い、寒い。小さなことだが、たまっていくと爆発しかねない。京都の東映撮影所は、そんなことが一切なく、スタッフを含めて環境に恵まれた。時代劇に対して好印象のまま撮影を終えることができて良かった」と振り返る。

身分違いのかなわぬ恋の相手(堀北真希)への思いを断ち切るとき、大奥で男たちから嫌がらせを受けたとき、絶対にあらがえない運命を受け入れるとき。悲しみ、怒り、あきらめ......。感情の高ぶりを静かに目に宿すことで、逆に秘めた激しさが伝わってくる。

「作品を少しでも良くするために、いろんな可能性を現場に持ち込む。今回監督から『生命力のあるキャラクターになってほしい』と言われた。演技に納得がいかないとき、整理がつかないときは、その言葉を思い出して当てはまる選択をした」

19日から連続ドラマ「フリーター、家を買う。」(フジ系)がスタート。来年は映画「GANTZ」が公開される。俳優としての活躍が目立つが、「本職はアイドル」と言い切る。アイドルだから、この作品に呼ばれたという認識がすごく高い。

「芝居のうまい人はいくらでもいる。監督や共演者、作品全体のパワーバランスがきれいな形を描くように、自分がアクセントになれたら。そのためにもアイドルでいた方がいいし、いたいと思う」

チームワークの良さを見せる「嵐」では、突っ込み役。メンバーの魅力を引き出す。

「一緒に活動できることが幸せ。長く続くよう努力します」

(文・小林裕子)